栄養補助食品や化粧品をネットワークビジネスで販売する日本ユサナ（本社東京、電03-5354-4100）。米親会社のユサナ・ヘルスサイエンスはナスダックに上場しており、信頼度は高いものの開業時に期待されたほどの成長は見せていない。01年の正式開業以降、日本法人の社長交代が相次ぎ、クリステンセン前社長が昨年末に退任して以来、現在は空席の状態が続いている。その日本法人の代表取締役としてピーター･フォス氏が着任した。「日本の社長を探すことも目的のひとつだ」というフォス氏に今後の戦略について聞いた。

――今年1月1日付で代表取締役に就任したということだが、社長職ではないのか。
＞＞＞社長職ではない。クリステンセン前社長退職後、次のＧＭを探すという任務ももちろんあるし、前社長の仕事を引き継いでもいる。
――これまでの経歴について。
＞＞＞私は米国在住のヨーロッパ人。デンマークのオデンセ大学でＭＢＡを取得し、コンサルティング企業で働くかたわら、母校で非常勤講師としても働いていた。そして、スイス企業の子会社、パサップＵＳＡという企業のＣＥＯ・社長を14年間務めていたとき、米国へ移住した。
　その後、ステファン・カヴィーのもとカヴィー・リーダーシップセンターで副社長として働き、ＧＭやフォード、３Ｍやジョンソン＆ジョンソンといった企業のリーダーシップ発掘やトレーニングにかかわった。
　ネットワークビジネス主宰企業への勤務は米ユサナが初めてで、国際開発担当エグゼクティブ・ディレクターとして勤務した。日本に赴任するまでは、韓国ユサナを立て直すための仕事に集中してきた。それまで韓国ユサナはワールドワイドで最も業績の悪い国だったが、いまやトップの成長率を誇るまでに再建できた。
――日本市場についてどう考えているか。
＞＞＞日本ユサナは「眠れる巨人であり、今、まさに目覚めようとしている」ととらえている。日本は世界でも第2位の市場。米本社は、日本ユサナを拡大するための投資や人的援助も惜しまない。2010年には、日本ユサナの売上を今の10倍にするという目標を立てている。これを達成するための基礎固めをしている段階で、現在、優秀な人材を揃えるべく動き出している。マーケティング担当ディレクターとして山本伸二氏を迎えたのもその一環だ。
――05年12月期決算業績と、今期の業績予想について。
＞＞＞過去6ヶ月間との比較では3％の成長率。ただし、業績を伸ばすことに今はあまり注目していない。今後2年間は基礎固めの時期だと考えているからだ。これまではこの基礎固めがきちんとできていなかったと思う。
――韓国ユサナを再建できた最大の要因は何か。
＞＞＞モダンなリーダーシップを持たせることに成功したからだと思う。これは、ステファン･カヴィーで培った経験を生かすことができたからだと考えている。また、マネージメント･チームに適正な人材を入れた。これにより、会員との信頼関係を構築することができた。さらに9カ月間にわたって会員の意見を吸い上げ、経営に生かした。会社は会員の働きに感謝しているんだということを理解してもらえれば、それに会員も応えてくれ、良好な関係を築くことができる。
　日本とは文化が異なるので、同じ手法がすべて通用するとは思わないが、会員との信頼関係を構築することが業績に結びつくということは同じだろう。日本の会員の皆さんにユサナのビジョンやミッションを理解していただければ、動き出すことができると思っている。
――御社が他の外資系企業と異なる点、あるいは優位な点とは何か。
＞＞＞当社の仕事というのは、創業者であるマイロン･ウェンツ博士のビジョンを広げること。人々の人生をより良くするための最高品質の製品を製造する科学にもとづいた企業で、製品流通の手段としてネットワークビジネスを選んだ。ネットワークビジネスをするために、何か売るものを考えるという逆のパターンではない。
　会員が製品を販売することで相当な収入を得ることは喜ばしいことだが、もっと重要なのは、当社の製品によって人々の人生の質が上がっているということだ。
――今後の製品戦略について。
＞＞＞今後も市場をリードする最高品質の栄養補助食品を開発する。また、肥満が糖尿病など生活習慣病の引き金になっていることから、ニュートリミールといったウエイト・マネージメント製品の開発改良にも力を入れたい。