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誰の瞳から情報を得るか

[ 2011/7/26 ]

編集長お薦めの『津波と原発』佐野眞一著、という本を読みました。

普段あまりノンフィクションを読まないので、とても新鮮でした。
また、真実と呼ばれる、隠された出来事があることを知ることができました。
もっとよくテレビのニュースや新聞を読み、原子力発電所の問題について、
知っておくべきだと思いました。たとえそれが偏った情報だとしても、
蓄積されたそれは、自分の中での意思の決定に役立つことだと思いました。
最近の人たち(わたしを含め)は、政治的問題が他人事で、
原子力発電所が「自分の問題」でもあることが、希薄になっていると改めて感じました。

……と、よい本を読んだ、と思う反面の本好きとしての感想は、以下。

誰かから情報を得ると言うことは、
その他人の瞳と感情を通してしか得ることができないと言う欠点がある。
もちろん裏を返せばそれが「個性」と呼ばれるものであろうが、
しかし「ノンフィクション」と言われるその分野では
執筆者の感情を推し殺すことに意味があるように思う。
見たものをありのままに他人に届けるためであるなら、
その窮屈さもある意味で仕方のないことではないかと思う。
また、隠し切れなかった、あるいは、その感情以外の視点の切り口の角度から、
読者が誰の瞳から情報を得るか選択する自由が生まれるのだと思う。

本書の前半は著者である佐野さんが、
東日本大震災の被災地を実際に歩き書かれたものである。
その瞳で語られる景色は、まるでその現場に立ちすくみ、
凄惨な光景を見ているかのようにリアルだった。
わたしはまだ被災地に足を運んだことがないが、
ぜひ足を運ばなければならない、という衝動に駆られた。
さすが佐野さんだな、という渾身の文章。
しかし、後半の原子力発電所の話になると、
やや事実が捻じ曲がっているように感じた。
内容は全体的に「東電が悪い」傾向でまとめられている。
「東電が悪い」は事実なのかもしれないが、
「東電が悪い」を根底として書かかれてしまったこの本は、
「ノンフィクション」ではなく、佐野眞一、という人間の感情を読んでいる気分になった。
原子力発電所は、日本(「フクシマ」)にはなくてはならないものだった。
その事実と、「東電が安全確認をもっと慎重にすべきだった」という後日談は、
両方とも事実であり、どちらも責めてはいけない事実ではなかろうかと思った。

そういいながらも、とても読みやすく原子力発電所・原発問題に、
もっと親身にならなければならない、と思い直させてくれた本だった。

後日、編集長に他のお薦めを聞いてみようと思う。
お薦めくださりありがとうございました。

(河野)

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