職場が変わると、心境も変わる。
中でも興味深いのは、
編集部の誰もが「本を読む」という営為に、
実に重きを置いているということです。

これまで僕は「趣味は？」と聞かれたら、
「読書かな」と答えていました。
それは本当ですし、一冊の本は隅から隅まで読みます。

書店に並んだばかりの本に向かいながら、
「あ、誤植みっけ。
重版されない限り、誤植のまま絶版だな」なんて
初版本のミスを意地悪く指摘するくらい熟読します。
（悪趣味ですね）

しかしそんな僕と比べると、
編集部のメンバーは年季が入っています。
そういう方々に囲まれると、
読書欲が刺激されます。

三島由紀夫は、その『文章読本』（中公文庫）の中で、
「良き書き手とは、良き読み手である」
という意味のことを言っていますが、
この２週間はその言葉が特に重い響きをもって感じられました。

（宇佐美）