アガリクス１製品に発ガン促進作用が見つかったなどとして話題を呼んだ、いわゆるアガリクス問題で４月２８日に食品安全委員会が最終評価書を出したのを受け、厚生労働省は７月３日、都道府県など地方自治体の首長宛に、食安委の評価書の概要などを通知した。同通知では、評価書の内容にとどまらず、風評被害の防止の必要性を盛り込んだり、「平成１８年通知の発表以後（中略）健康被害に関する報告等はない」と特記するなどしていることから、業界には「厚労省が出した、アガリクスの事実上の安全宣言だ」と好意的に受け止められている。
　「アガリクス（カワリハラタケ）を含む製品について」と題する今回出された通知では、評価書が求めている継続的な情報収集について「従前のとおり引き続き情報収集を行う」とし、特段新しい調査などは行う必要がないことを明確に示した。
　また、「いわゆる風評被害等が生じることのないようにすることも含め、引き続き正確な情報等の提供に努めるようよろしくお願いする」と特記、都道府県などにアガリクスに関する風評被害の防止に努めるよう求めている。
　さらに、通知に別紙として付した「アガリクスを含む製品の留意事項について」では、「平成１８年通知の発表以後、アガリクスを含む製品について、自治体等から当省に対し、健康被害に関する報告等はないこと（ガンの治療を受けている患者において、アガリクスを含む食品を摂取して肝障害が発生した事例も、厚生労働省に報告されていない）等から、これらについてもご承知おき願いたい」などと記載。アガリクスの安全性について誤認を招くことがないよう、配慮を見せている。
　風評被害に苦しんできたアガリクス業界の多くの企業の中には、これらの点から同通知を「事実上の安全宣言」と受け止め、「ひとつの大きな区切りになる」と期待する向きが多い。
　４月２８日に出した食安委の評価書では、発ガン促進作用が問題となった製品も含め、さまざまな試験を行った結果「問題となる遺伝毒性（発ガン性）はないと判断した」としながらも、「厚労省から提出された資料ではデータ不足で安全性について食品健康影響評価を行うことは困難」と結論付けていた。
　また、厚労省から提出された資料に、ガン治療患者がアガリクス製品を摂取して肝障害を起こした可能性を示唆する事例が確認されていることなどを根拠に、厚労省に情報収集など継続的な対応を求めていた。